2023年4月11日
代表理事の佐野です 遅くなりましたが、2023年度学会大会についてお知らせいたします。
ようやく新型コロナ感染症の影響もほぼ収束し、従来通り対面での開催を計画できるようになりました。状況の推移を踏まえながら計画する必要があったため会場の確保や大会準備作業も遅れがちとなり、みなさまへのお知らせがこの時期となってしまったことをお詫びいたします。
開催日時は6月10日(土曜)~11日(日曜)、場所は東京海洋大学で開催いたします(隔年で東京と地方で開催を行う開催地選定原則が定められております)。当学会大会は今年で70回目となり、節目の年を迎えます。また、今年10月1日には北日本漁業経済学会と統合することが決まっており、会則や活動内容も大幅に刷新されます。日本の漁業・水産業はこの70年間で大きく変わり、今も絶え間なく変わりつつあります。当学会も、70年にわたる諸先輩方の真摯な学究努力により培われた学問的伝統や文化、漁業経済研究に対する真摯な姿勢と高い倫理観を維持しつつ、時代の変化に取り残されないよう常に自己改革を続けて行かねばなりません。70周年の今年行われる両学会の統合が実りあるものになるよう、会員全員でしっかりと行動していきたいと考えております。
さて、大会シンポジウムは10日午後に予定しております。詳細は後述いたしますが、現在我々の社会・経済生活を根底から揺るがせている国際情勢の変化を切り口とし、特に「食料安全保障」の観点から水産業を見直すことをテーマとしました。古くて新しいテーマです。もともと日本の食料自給率はカロリーベースで先進国最低レベルであり、その6~7割程度を輸入に依存してきました。そのことに対する批判的言論はこれまでも存在していましたが、他方で開放経済の貫徹を支持する研究者や政治家も多く、日本はWTO体制の優等生として食料品の貿易自由化と輸入拡大を推し進めてきました。しかし2019年から始まった世界的なパンデミックにより社会・経済のグローバリゼーションは大きく後退し、さらに2022年初頭に始まり今も収束する気配を見せないロシア・ウクライナ戦争がそうした新しいトレンドに追い打ちをかけました。このことは楽観的な開放経済体制の維持を困難にしています。「食料」の観点では、輸入食料品の価格が急激に高騰し、不足しはじめました。加えて国内食料生産が依存してきた生産基盤でもある種子や飼肥料、資材までもが輸入しづらくなり、その価格も高騰しています。同時にエネルギー価格も高騰し、物流コストの大幅上昇も食料やその原料・資材調達価格の高騰に拍車をかけています。他方、このような厳しい状況下においてもなおアフリカを中心に世界人口はまだまだ膨張を続けることが確実視されており、世界全体における食料不足はいよいよ現実味を帯びてきました。食料を安易に輸入に依存できない時代が確実にそこまで来ています。
このような状況において、「食料安全保障」の確保やその食料政策としての実現は、これまでと次元が異なる現実的課題として我々漁業経済研究者すべてに突きつけられているのではないでしょうか。このような新しい時代を迎え、漁業・水産業そして漁業経済研究はどうあるべきでしょうか。日本の食料安全保障確保において漁業・水産業はどのような貢献ができ、またどのような課題があるのでしょうか。そのようなことを、今大会シンポでは参加者全員で議論したいと考えております。積極的なご参加をお待ちしております。
また11日午後にはミニシンポを計画しております。タイトルは「内水面における漁業管理の展望と課題」です。水産庁職員として様々な形で内水面漁業の管理・調整に関わってこられた櫻井政和会員の発意に基づき、これまであまり論じられることのなかった「内水面漁業」について、その現状や課題を議論すべくミニシンポを企画していただきました。こちらもお時間が許す限り、是非ご参加下さいますようお願い申し上げます。
シンポジウムおよび一般報告につきましてはZoomを用いたリモート配信を予定しています。聴講のみとなりますが、会場参加が難しい会員におかれましては、是非ご利用下さい。理事会および総会は対面で開催したいと思います。大会及びシンポジウムのプログラムや報告要旨などは後日HP上に掲載いたしますので、そちらをご覧下さい。
最後になりましたが、70回大会へのみなさまのご参加を心よりお待ちしております。お気をつけてお越し下さい。
(代表理事 佐野雅昭 事務局一同)
一般報告は会場における対面での報告に限定いたします。下記①~④の内容を5月8日までにメールで事務局甫喜本あてに提出して下さい。
① 報告タイトル ②報告者名 ③報告者の所属 ④報告の要旨(1,600文字以内)
なお、タイトル、要旨ともにワードファイルで作成し、メールに添付してご提出願います。提出先は事務局のメアド(fishecono@gmail.com)甫喜本宛にお願いいたします。メールの件名は、「漁経2023一般報告・報告者名」としてください。
なお、一般報告内容の会誌掲載を進めております。報告論文としての学会誌掲載を希望される方は7月20日までに、HP掲載の「漁業経済研究 投稿規定(2019年12月25日改訂版)」に基づく形式で、送り状とともに学会編集委員会(gyokeied@gmai.com)まで投稿原稿をお送りください。英語での報告・投稿も受け付けています。
会計監査、学会賞選考委員会、理事会につきましては別途委員の皆様に開催案内のメールを出させていただきます。お待ちください。
学会賞及び奨励賞、秋谷賞候補者の推薦を募集しています。
2023年5月末までに候補対象者名と理由を記して事務局までお送り下さい。お送り頂いたものを学会賞選考委員会に提出します。事務局のメールアドレスにお願いいたします。fishecono@gmail.com
なお、メールの件名は、「漁経2023学会賞推薦・送信者名」としてください。よろしくお願いいたします。